マクロ経済スライドによる年金額調整がはじまる【平成27年4月分~】
マクロ経済スライドとは、少子高齢化が進むなかで将来の現役世代の過重な負担を回避する目的で、2004年の年金改正時に導入されたもので、賃金や物価の改定率を調整して緩やかに年金の給付水準を調整する仕組みです。
これまで一度も実施されていませんでしたが、2015年の年金額改定において初めて実施されることになりました。
マクロ経済スライドとは
マクロ経済スライドとは、賃金・物価による改定率から、現役の被保険者の減少と平均余命の伸びに応じて算出した「スライド調整率」を差し引くことによって年金の給付水準を調整する仕組みです。
①物価や賃金がある程度上昇する場合 「スライド調整率」がそのまま適用 ②物価や賃金の伸びが小さく、適用すると年金額が下がってしまう場合 ③賃金や物価の伸びがマイナスの場合 |
2015年度の年金額
年金の支給額は物価や賃金に応じて決められることになっています。2014年は物価変動率が2.7%、名目手取り賃金上昇率は2.3%。本来なら低いほうの名目手取り賃金上昇率にあわせて改定するため、2.3%がこれまでの改定率でした。
しかし、「マクロ経済スライド」を発動することで0.9%、それと、過去の物価下落時に引き下げなかった特例水準の解消分0.5%をそれぞれ差し引いた結果、0.9%の増加にとどまりました。
4月分の給付から適用される新たな年金月額は、自営業者らが加入する国民年金で満額6万5,008円(40年間保険料納付)、厚生年金で22万1,507円(夫が会社員、妻が専業主婦の標準的モデル)。マクロ経済スライドによる調整分として、それぞれ約600円と約2,000円が差し引かれています。
スポンサーリンク
関連記事
-
-
平成30 年度の年金額改定 ~年金額は昨年度から据え置き~
総務省からの、「平成29 年平均の全国消費者物価指数」(生鮮食品を含む総合指数)を踏まえ、平成30
-
-
在職老齢年金の支給停止基準額が「46万円→47万円」に変更(平成27年4月1日より)
在職中に老齢厚生年金(在職老齢年金)を受給されている方の年金額は、受給している老齢厚生年金の月額と総
-
-
障害年金の認定基準の一部改定【平成27年6月1日】
平成27年6月1日から、障害年金の審査に用いる障害認定基準が一部改正されました。 1.音声又は言語
-
-
国民年金の学生納付特例制度
日本国内に住むすべての人は、20歳になった時から国民年金の被保険者となり、保険料の納付が義務づけられ
-
-
厚生年金保険と共済年金の一元化
民間企業に勤めている方は厚生年金に加入し、公務員や私立学校の教職員は共済年金に加入していますが、平成
-
-
国民年金の保険料を安くする方法
国民年金は、日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満のすべての人が加入するもので、老齢・障害・死亡
-
-
国民年金保険料納付猶予制度の対象年齢が30歳未満から50歳未満に拡大
国民年金保険料の納付が、収入の減少や失業等により難しいときは、「国民年金保険料免除・納付猶予制度」が
-
-
パート主婦の税金と社会保険
年末調整の時期が近づき、そろそろ生命保険料の控除証明書なども届き始めているようです。 この時期
-
-
平成28年度年金額の改定
平成28年度の年金額は、法律の規定により、物価、賃金によるスライドは実施されず、平成27年度から据え
-
-
学生の国民年金加入と「学生納付特例制度」
日本国内に住むすべての人は、20歳から国民年金の被保険者となり、保険料の納付が義務づけられています。