平成30 年度の年金額改定 ~年金額は昨年度から据え置き~
総務省からの、「平成29 年平均の全国消費者物価指数」(生鮮食品を含む総合指数)を踏まえ、平成30 年度の年金額は平成29 年度から据え置きとなりました。
年金額改定のルール
年金額は賃金や物価の変動率に応じて毎年度改定されます。平成30年度の年金額は、年金額改定に用いる物価変動率がプラス0.5%であったものの、名目手取り賃金変動率が▲0.4%となることから、法律の規定により平成29年度から据え置きとなりました。
平成30年度の年金額
したがって、平成30年度の67歳以下の新規裁定者の標準的な年金額(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む額)の例では、平成29年度と同じ月額221,277円となります。
「夫婦2人分の老齢基礎年金を含む額」とは、夫が平均的収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)42.8万円)で40年間働き、妻が専業主婦であった世帯が年金を受け取り始める場合の給付水準です。
平成30 年度の参考指標
・ 物価変動率…0.5%
・ 名目手取り賃金変動率(※1)… ▲0.4%
・ マクロ経済スライドによるスライド調整率(※2)… ▲0.3%
(※1)名目手取り賃金変動率(▲0.4%)の内容
= 物価変動率0.5%(平成29 年の値)
× 実質賃金変動率▲0.7%(平成26~28 年度の平均)
× 可処分所得割合変化率▲0.2%(平成27 年度の値)
(※2)マクロ経済スライドによるスライド調整率(▲0.3%)
= 公的年金被保険者数の変動率0.0%(平成26~28 年度の平均)
× 平均余命の伸び率▲0.3%(定率)
マクロ経済スライドとは、賃金・物価による改定率から、現役の被保険者の減少と平均余命の伸びに応じて算出した「スライド調整率」が設定され、その分を賃金・物価がプラスとなった場合に改定率から差し引くことによって年金の給付水準を調整する仕組みです。
平成30年度の年金額改定においては、マクロ経済スライドによる調整は実施されません。(マクロ経済スライドによる調整は行われず、未調整分は繰り越されることになります)
この仕組みは平成16年の年金制度改正において導入されたもので、マクロ経済スライドによる調整を計画的に行うことにより、将来世代の年金の給付水準を確保することが目的です。
マクロ経済スライドの未調整分について
平成28年に成立した年金改革法により、マクロ経済スライドによって前年度よりも年金の名目額を下げないという措置は維持した上で、未調整分を翌年度以降に繰り越す仕組みが導入されました。
年金額改定ルールの見直しは平成30年4月から施行され、平成30年度以降に発生したマクロ経済スライドの未調整分が繰越しの対象となります。マクロ経済スライドの未調整分の累計は▲0.3%となります。
この仕組みは、マクロ経済スライドによる調整を将来世代に先送りせず、できる限り早期に調整することにより、将来世代の年金の給付水準の確保を目的とするものです。
参照:厚生労働省HP
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-12502000-Nenkinkyoku-Nenkinka/0000192296.pdf
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