就職後の国民健康保険から社会保険への移行について
就職が決まった場合の、国民健康保険から新たな医療保険制度への加入手続きについて考えてみましょう。
就職が決まっても、就職先が社会保険の適用事業所ではない場合や、就労条件が短時間労働(1週間あたり30時間未満)などの場合は社会保険に加入することはできません。その場合は引き続き国民健康保険に加入することになりますが、ここでは社会保険に切り替えることを前提にお話します。
月末の状況で判断する
月末にどの医療保険制度に加入していたかで、どの保険者に保険料を支払うか判断します。
例えば12月5日に入社した場合、その前月の11月30までは国民健康保険に加入していますので、11月分の国民健康保険の保険料は支払わなくてはなりません。
12月分は月末時点で、すでに国民健康保険の資格を喪失し社会保険の被保険者となっていますので、新しい保険者に保険料を支払います。
保険料は月額制であり、日割り計算はしていないのです。
国民健康保険の脱退手続き
国民健康保険の脱退手続きは居住地の市区町村役場窓口で行いますが、手続きの際は以下のものが必要になります。
・加入した社会保険の保険証(扶養家族分含む) ・国民健康保険の保険証(切り替えた方全員分) ・運転免許証など本人確認のできるもの |
※社会保険の加入手続きについては、会社の方で行ってもらえます。
国民健康保険の保険料
国民健康保険の保険料の支払い回数は、居住地によって異なりますが、だいたい10回に分けて支払う地域が多いようです。
保険料の金額は、毎年4月~3月の世帯収入などをもとに決定され、それを翌年の6月~3月で分割して納付します。つまり、4月と5月の支払いはなく、残りの10ヶ月間で1年分の保険料を支払っているのです。(図1参照)
例えば、ある人の年間保険料が120,000円であったとすると、6月~3月(10ヶ月)で毎月12,000円を支払います。
その人が11月まで国民健康保険に加入し、12月から社会保険の被保険者になったとします。この場合、今年度の国民健康保険料として8ヶ月分支払う必要が生じます。ですので、120,000円÷12ヶ月分×8か月分=80,000円となります。
6月~11月までの6回分の国民健康保険の実際の支払いは、12,000円×6回分=72,000円となっています。そこで11月までの8ヶ月分との差額を支払う必要が生じます。この場合、12月末の納付期日で不足分の8,000円(80,000円-72,000円)を支払います。(図2参照)
12月分は、国民健康保険と社会保険の2重払いのように見えますが、実際は違うのです。くわしくは居住地の市区町村役場窓口に直接お問い合わせてください。
注意すべき点
国民健康保険の資格喪失手続きが遅れると、納付書や引き落としの関係で、その期分の保険料を支払ってしまうことがありますので、早めに手続きをしたほうがよいでしょう。ですが、多く支払ってしまった保険料は、後で還付されます。
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