社会保険Q&A ~出産時に受けとれる給付金~
Q、出産時に受けとれる給付金にはどのようなものがありますか?
A、基本的には正常な出産は病気ではないので、出産費用は全額自己負担です。帝王切開などの異常分娩は医療の給付の対象となり、自己負担は3割となります。
出産には多額の費用がかかるばかりでなく、その間働けなくなります。そこで各種の公的な給付金等が用意されています。
出産育児一時金
健康保険に加入、または被扶養者になっていて、妊娠4カ月(85日)以上で出産(死産・流産を含む)した場合は、子供1人につき42万円、 双子なら2倍の84万円が受け取れます。
ただし、在胎週数が22週未満で「産科医療補償制度」の加算の対象にならない出産の場合は39万円になります。
※産科医療補償制度とは、分娩に関連して重度脳性麻痺となった赤ちゃんが速やかに補償を受けられる制度で、分娩を取り扱う医療機関等が加入する制度です。
退職後も出産育児一時金を受けとれる場合があります。その場合は以下の要件をすべて満たしていることが条件となります。
- 妊娠4ヵ月(85日)以上の出産である
- 退職日までに継続して1年以上被保険者期間(任意継続被保険者期間は除く)がある
- 退職日の翌日から6ヵ月以内の出産である
※資格喪失後の給付は被保険者であった人の出産が対象となり、被扶養者であった家族の出産は対象外となります。
出産手当金
被保険者本人が出産のため会社を休み、その間に給与が支払われない場合は、妊娠判明の日から出産の翌日以後56日目までの範囲内で、仕事を休んだ期間を対象として出産手当金が支給されます。(出産日は出産の日以前の期間に含まれます。)
出産手当金の額は、1日につき被保険者の標準報酬日額(標準報酬月額の30分の1に相当する額)の3分の2に相当する額が支給されます。
仕事を休んだ日について給与が支払われ、その給与が出産手当金の額より少ない場合は、出産手当金と給与の差額が出産手当金として支給されます。
ただし、国民健康保険の加入者には出産手当金は原則として支給されませんので、注意が必要です。
育児休業給付
育児休業給付は、一般被保険者が1歳又は1歳2か月(パパ・ママ育休プラスの場合)未満の子を養育するために育児休業を取得した場合に、休業開始前の2年間に賃金支払基礎日数11日以上ある月が12か月以上あれば、受給資格の確認を受けることができます。
※支給対象期間の延長に該当する場合は1歳6か月まで受給可能
育児休業給付金は、以下の要件を満たす必要があります。
- 休業開始前の1か月あたりの賃金の8割以上の賃金が支払われていない
- 就業している日数が支給単位期間(1か月ごとの期間)ごとに10日以下である
育児休業給付金の支給額は、支給対象期間あたり、
休業開始時賃金日額×支給日数の67%
(平成26年4月1日以降に育児休業を開始した方が対象、育児休業の開始から6か月経過後は50%)相当額となっています。
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