学生の国民年金加入と「学生納付特例制度」
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国民年金法
日本国内に住むすべての人は、20歳から国民年金の被保険者となり、保険料の納付が義務づけられています。これは職業に関係なく学生でも、国民年金の保険料を納付しなくてはいけないということです。そこで収入のないあるいは一定以下の学生については、申請により在学中の保険料の納付が猶予される「学生納付特例制度」が設けられています。
「学生納付特例制度」とは
国民年金の被保険者が学生であり、本人に収入がないまたは収入が一定以下の場合に申請し、承認されることで国民年金保険料の納付を先送り(猶予)できる制度です。
「学生納付特例制度」のメリット
・年金を受け取るために必要な期間(受給資格期間) に算入される。
・在学中のスポーツ等のけがや病気で障害が残ったときも障害基礎年金を受け取ることができる。
対象となる人
①所得基準
学生本人の所得が一定基準以下である必要があります。申請者本人の所得で家族の所得の多寡は問われません。
<所得のめやす>
118万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等
②学生の範囲
学生の範囲は、大学(大学院)、短大、高等学校、高等専門学校、専修学校及び各種学校、一部の海外大学の日本分校に在学する人で、夜間・定時制課程・通信制課程の人も含まれます。
なお各種学校は、修業年限が1年以上の課程に在学している人で、私立の各種学校については都道府県知事の認可を受けた学校が対象です。海外大学の日本分校は、日本国内にある海外大学の日本分校等であって、文部科学大臣が個別に指定した課程に在籍する人に限ります。
学生納付特例期間の年金はどうなるのか
学生納付特例期間は、将来受け取れる年金の受給資格期間には反映されますが、年金額には反映されません。
老齢基礎年金を受け取るためには、原則として保険料の納付済期間等が25年以上必要です。
学生納付特例制度の承認を受けた期間は、この25年以上という老齢基礎年金の受給資格期間には反映されますが、あくまで学生納付特例制度は保険料の免除ではなく保険料納付の猶予ですので、猶予期間は受給資格期間には反映されるものの老齢基礎年金計算の対象となる期間には含まれないのです。
保険料の追納ができる
学生納付特例期間については、10年以内であれば保険料をさかのぼって納付することができます。学校を卒業し就職後に猶予していた期間について保険料を納付することができるので、将来受け取る年金額を増やすためにも追納が有効です。
手続き方法
申請の流れ
①市(区)役所または町村役場の国民年金窓口や、年金事務所、日本年金機構ホームページで申請書を入手する。
②住民票を登録している市(区)役所または町村役場の国民年金窓口で申請書を提出する。
〈必要書類〉
学生証(コピー可)または在学証明書(原本)が必要。
③申請後、「承認通知書」あるいは「却下通知書」が届きます。
・「承認通知書」が届いた場合、承認期間は4月~翌年3月の1年間です。
・「却下通知書」が届いた場合、保険料を納付しなければなりません。
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