失業保険(雇用保険の基本手当)受給中のアルバイト収入について
やむをえない事情で退職してしまったとき、生活の支えとなるのが雇用保険の基本手当ですが、基本手当は求職活動中の生活を支援するためのもので、収入としては十分ではありません。そのようなときに考えるのがアルバイトという選択肢ですが、基本手当の受給中にアルバイトとして働くのは大丈夫なのでしょうか。
失業保険受給期間中にアルバイトはできるのか
失業保険(雇用保険の基本手当)を受給しながらアルバイトするのには条件があり、アルバイトが就労なのか、内職・手伝いなのか、就労時間や収入額等により失業の認定や基本手当ての額が変ってきます。
つまりは、条件さえクリアすればアルバイトしても問題はないということです(自己都合による退職の場合も同じ)。
アルバイト等により基本手当が受給できない場合
アルバイト等が就職または就労と見なされる場合は、基本手当の支給を受けることはできません。
就職または就労に該当する場合は、次の①から⑤などがあります。
①雇用保険の被保険者となる場合
②雇用され、1日の労働時間が4時間以上である場合
③会社の役員に就任した場合
④自営業の準備または営むこと、請負・委任による労務提供などをした場合で原則として労働時間が4時間以上である場合
⑤ ④の就労が4時間未満であったが、それに専念するため求職活動を行わなかった場合
アルバイト等の収入があっても基本手当を受給できる場合
アルバイト等が内職・手伝い程度であり、その労働時間が認められた範囲内であれば、収入額に応じて基本手当が支給になる場合があります。具体的な条件はハローワークによって異なるのですが、
☆失業認定期間(原則4週間未満)に労働日数が14日以内であること。
☆1週間の労働時間が20時間未満であること。
☆1週間の労働日数が3日以内であること。
だと言われています。基本手当を受給しながらアルバイト等する場合は、管轄のハローワークできちんと条件を確認してください。
内職・手伝い等で収入額に応じて基本手当が調整になる場合
内職・手伝い(自己の労働)による収入額により、基本手当が減額もしくは不支給になることがあります。
自己の労働によって得た収入から控除額(平成26年8月現在では1,286円)を引いた額と基本手当の日額との合計額が賃金日額の80%を超えるときは、超える額の分だけ基本手当の日額は減額されます。
①全額支給
基本手当+「収入」≦賃金日額の80%
②減額支給
基本手当+「収入」>賃金日額の80%
③不支給
「収入」>賃金日額の80%
基本手当受給期間中のアルバイト等は、きちんと申告する
基本手当の受給中は、原則として4週に1度ハローワークで失業の認定を行ないます。「4週間=28日間」ごとに失業状態であることの認定をうけることにより、28日分の失業保険が給付される仕組みです。具体的には、指定された日に管轄のハローワークへ行き『失業認定申告書』を記入し、雇用保険受給資格者証と一緒に提出するという流れです。
アルバイト等をした場合は、『失業認定申告書』に「就職&就労」と「内職&手伝い」に分けて、収入の内訳と勤務日数を記載しなければなりません。虚偽の記載をすると不正受給とみなされ、支給がストップしたり、場合によっては今まで受給した分まで返還を求められたりすることもあるので注意が必要です。
働いた日数だけ支給が先延ばし
『失業認定申告書』には収入の内訳と、実際に働いた日数を記入します。基本手当ではこの働いた日数分については支給をいったん止めますが、受給期間(所定給付日数)の終了後に、その分だけ支給しなおすという仕組みになっています。
例えば、所定給付日数が120日の人が、途中10日間アルバイトをした場合は、121日目から10日分の手当が支給されるということです。
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