代休と振替休日の違い
「代休」と「振替休日」は、どちらも本来は「休みである日に働いて、別の日に休みを取る」という意味では同じですが、労働基準法上では明確な違いがあります。
代休とは
いわゆる「代休」とは、休日の労働が行われた場合に、その代償として以後の特定の労働日を休みとするものであって、代わりに休む日が事前に決まっていない状態で働いているため、休日の労働分の割増賃金を支払う必要があります。
振替休日とは
一方の「振替休日」とは“休日の振り替え”の意味であり、あらかじめ休日と定められていた日を労働日とし、そのかわりに他の労働日を休日とすることです。これにより、あらかじめ休日と定められた日が“労働日”となり、そのかわりとして振り替えられた日が“休日”となるものです。したがって、もともとの休日に労働させた日については“休日の労働”にはならず、休日の労働に対する割増賃金の支払義務も発生しません。
たとえば、法定休日は日曜日の企業で日曜日を労働日、同じ週の水曜日を休日とした場合、従業員が日曜日に働いても割り増し賃金は支払われません。
しかし、週をまたいだ振替休日の取得には注意が必要です。たとえば日曜日に働き翌週木曜日に振替休日をとるような場合です。休日労働に対する割増賃金は発生しませんが、1週間の労働日数が増えるため、週40時間の法定労働時間を超える可能性があります。その場合は超えた時間分について時間外労働に対する割増賃金が発生します。
下の図の場合では、40時間を超える8時間分が時間外労働に該当しますので、25%の割増賃金の支払が必要になります。
「代休」と「振替休日」は、本来休日である日に働く代わりに労働日に休むという点では同じであるため、明確に使い分けられていない場合もあるようです。割増し賃金が発生することもあるので、企業は就業規則などでしっかり定めておく必要があります。
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