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「残業代ゼロ」新労働制度導入へ

働き方を自己裁量とする代わりに、労働時間規制から外す「ホワイトカラー・エグゼンプション」が高度専門職に限り導入になる見通しとなりました。

 

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議論

厚生労働省案では、ホワイトカラー・エグゼンプションの対象者は金融機関のディーラーなど世界レベルの高度な専門性を持ち、労働条件で会社と対等に交渉できる人を考えているようです。

「残業代ゼロ」と批判する労組に対しては、現実には仕事量や労働時間を自分では十分に調整できない働き方が主流だと説明し、労働時間や仕事量を労使でチェックする仕組みを持ち、深夜・休日の割り増し賃金の支払いもある裁量労働制の拡大で対応すべきと提案しています。

 

一方、産業競争力会議の民間議員と事務方は、労働分野の規制緩和で国内外の投資家に改革姿勢をアピールし、株価浮揚につなげたいねらいがあり、経営企画、商品企画・開発などのリーダー職のような管理職候補など幅広い層を対象とするよう求めています。

本人同意や労使合意を導入の条件として、年間の取得日数の下限を設定するなどで長時間労働は防止できると主張しています。

 

懸念

裁量労働制とホワイトカラー・エグゼンプションは働いた時間にかかわらず一定の賃金が払われるという点では変わりません。

ですが、裁量労働制は労働時間を原則8時間とする、労働基準法の規制下にあります。設定されるみなし労働時間が8時間を越える場合は、残業手当が発生し深夜・休日の割り増し賃金も支払われます。

ホワイトカラー・エグゼンプションは1日の労働時間に規制がなく、企業が時間外労働をさせる場合の労使協定も必要ありません。

ホワイトカラー・エグゼンプションについて産業競争力会議は「短時間労働でも報酬を得ることができる」と強調していますが、労働基準監督署などによるチェックが難しく、長時間労働への歯止めがかからない懸念はぬぐえません。

 

今後

制度導入は労働基準法改正が条件で、労使の代表が入った労働政策審議会での了承が必要となります。厚生労働省案では、外資系企業の社員らが想定されており、一般的な日本企業の労組組合員はほとんど対象にならないため、法改正は可能とみられているようです。

 

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